康代の対談トーク

忽那汐里さん×三上康代先生

忽那汐里さん×三上康代先生 本気で生きているからこそわかり合える
それぞれの人生のステージ

三上康代先生ゆかりのゲストをお招きする対談企画。記念すべき第一回のゲストは、俳優の忽那汐里さんです。おふたりはお互いを「しいちゃん」(忽那さん)、「やっちゃん」(康代先生)と呼び合う十年来のお付き合い。その関係性、そしてそれぞれの想いや人生について、お話を伺いました。

おふたりはプライベートで食事をする仲だそうですが、最初の出会いは患者と医師という関係でしたよね。忽那さんが康代先生の医院に通うようになったきっかけは何でしたか?

忽那さん: 私が大学生のころだったと思います。歯の矯正をしてくれる医院を探していて、友人の紹介で通うようになりました。

康代先生: 当時は二十歳前後だったかな。今でもそうだけれど、透明感があって純粋。子どもっぽい印象はありませんでしたね。

忽那さん: そのころ、殻に閉じこもっていたからそう見えたのかもしれない。

康代先生: そうだったの? だからかな、どこか大人びていたし、彼女の中には芯があって「この人はすごいな」って最初から感じていました。

忽那汐里さん×三上康代先生

子どものころはオーストラリアで生活をされていて、14歳でデビュー。おふたりが出会った大学生のころは、すでに俳優として活躍されていましたね。

忽那さん: ドラマや映画に出演させていただいていました。

康代先生: 「私、俳優です!」という素振りもまったく見せず、でもオーラがあって、発しているものがとても美しかった。

その後、プライベートで会うようになったのはいつ頃からですか?

康代先生: しっかり口内や呼吸を整えて最高の歯並びと笑顔を手に入れればもっと上に行ける、最高の場所からしか見られない景色があるよとずっと伝えていたのです。俳優さんは口を開いたときに見える矯正装置はなかなかつけられないけれど、「先生の完成形まで持っていってほしい」と通い続けてくれたのよね。

忽那さん: 通っていくうちになんとなくいっしょに食事に行くようになっていったのかな。

康代先生: 海外から帰ってくると「やっちゃん(康代先生、以下同)、帰ってきました」って連絡をくれるようになって。あるとき、髪の毛を全部編み込んだすごい髪型で帰ってきたことがあって!

忽那さん: ブレイズへアね! 金髪でラッパーみたいになっていたよね(笑)

康代先生: それまでは自分の内側を他人に見せなかったけれど、自分を表現しようと思うようになったのかなと感じた。そのあとしっかり歯も整えて。やっぱり矯正したあとは筋肉のバランスが整って笑顔が変わったし、顔もどんどん小さく、美しくなっていった。これこそ、私が矯正を通してやってきたこと。人生のステージも上がったのだと思う。今、人生を楽しめているんじゃないかしら?

忽那さん: 最近はすごくいい方向でいろいろなことが動いていると思う。

忽那汐里さん×三上康代先生

今では日本だけでなく、アメリカでも活躍されていますね。

忽那さん: 2018年ごろから海外の作品に出演するようになって、2020年ごろからは更に積極的にアメリカ含め海外で活動するようになりました。

康代先生: アメリカに行って、オーディションを受けて。自分を表現することを逃げずにやってきているよね。

忽那さん: もちろん海外に出たからこそ出てきた悩みもあるけれど、当時は行かない選択肢はなかったかな。

康代先生: 悩みはどんなことだったの?

忽那さん: ホームシックというか孤独感、さみしいという気持ちがあったかな。アメリカの作品は撮影に入ると短くても半年、長ければ一年くらいほとんど家に帰れない。家族や友だちと合えない時間が長くなって、とにかくさみしくてつらくて。好きな仕事をしているはずなのに、誰も知らない地で毎日過ごすことがつらかった。

忽那汐里さん×三上康代先生

その状態をどうやって克服したのですか?

忽那さん: 時間をかけて自分を探求してきました。それはやっちゃんのおかげでもある。以前は、「こういう風になりたい」とか「あんな人になりたい」とか、何かを追いかけていたんですけど、自分への探求を深めたら、吹っ切れて。人は皆、唯一無二であるということに気付きました。

康代先生: よかった!

忽那さん: 「私、結構かっこいいかも」って思ったりして。外見のことではなくて、ありのままの自分を全身で受け入れることができるようになったからそう思えるようになった。好きなこともやりたいことも明確になって、撮影期間はやっぱりさみしいけれど、それは自分が選択したことだと受け入れられるようになった。意識が変わったのかな。

康代先生: 一度、大泣きしたこともあったよね。自分は何のために海外に出たのかって。

忽那さん: 長い間、自分がなぜ俳優をやっているのか、わかっていなかった。「私は何がしたいんだろう」って。

康代先生: 俳優さんは、自分の体、声、表情ひとつで、人に何かを伝える、人に夢と希望を与える、最高の仕事だねって伝えたのを覚えている。それは人と比べることじゃなくて、忽那汐里にしかできないこと。だから忽那汐里という俳優が生まれて、あなたの体を通して伝えている、表現しているのよという話をしたと思う。

忽那さん: 何のために俳優という仕事を選んだのか、本質に気付いた。

康代先生: 私は「あれもいらない、これもいらない」と伝えて、デトックスさせてきたと思っているの。きっといろいろなものが抜け落ちたのではないかな。

忽那さん: やっちゃんが話すことは、表面的なところではなくて、意識や魂のような深い部分。あなたが今いるのはこのステージだけれど、もうそこは卒業していいよ、次のステージに行こうって言ってくれて。

康代先生: 俳優さんは、もらった役に没頭して演技で評価される。自分をなくしていろいろな役ができる人がすごいと言われる。でも、しいちゃん(忽那さん、以下同)はそうではない。「私にしか表現できないことをやりたい」と言っていたし、やりたいことがやれるような俳優に今、たどり着いたのではないかしら?

忽那さん: まさにその通り。役になり切るという考え方が私は昔から腑に落ちなかった。今は役とはいえ、あくまでも自分。別次元、別の環境下にいるということであって、自分に目を向けるべきだと。やっちゃんはGIVE(与える)の人。自分がこの先、どれだけ与えられるかということを考えている。私はその段階に入っていないし、その域に行くのかもわからないけれど、自分がやりたいからやっているかな。

康代先生: それでいいの! 「私、かっこいいじゃん」って言っていたけれど、それがもう人にGIVEしていること。それで今、楽しいんだから最高よ! 今日より明日、明日より明後日はよくなる。そうやって葛藤しながら右肩上がりで完成形を目指していくことが大切なの。

忽那汐里さん×三上康代先生

十年以上のお付き合いのなかで、それぞれの変化を間近でご覧になってきたのですね。忽那さんから見て、康代先生の印象は出会ったころから変わりませんか?

忽那さん: 60歳を境に少し変わったかなという印象がありますね。60歳のお誕生日で生まれ変わって0歳になった、ここからだからと話していました。幸せと愛を人に届けていく番だって。

康代先生: 2020年に60歳になったのだけど、ちょうど新型コロナウィルスが広まったころ。誕生日から1カ月間、みんなが毎日メッセージをくれたり、落ち着いてから会いに来てくれたり、たくさんの愛を感じた。私は幸せな人間だ、愛がいっぱいあると気付けたから、これからはこの愛を世の中の人のために使っていこうと決めたの。そこから大きく変わりました。いくつになっても気付くことができれば、人はこんなに変われるんだって思ったの。

忽那さん: ルピカ(口腔美容ジェル)もそのころ作ったんだよね? 自分の生き様を物として残すってすごいこと。そのころからどんどんエネルギッシュになっていったよね。

康代先生: ルピカが家にひとつあれば、その家庭には愛があるという想いで作ったの。口腔ケアの概念を変えるということ。人に気付きを与え、何歳になっても知ることは大切だと伝える。ひとりでも気付いてくれたら、私にはやってきた意味がある。60歳になってそれに挑戦した。そこから世界観もどんどん変わって、素敵な人たちにたくさん出会えるようになったから、今度はその人たちを私が横の糸でつないだら、世の中がよりよくなっていくのではないかって。世の中をよくしたい、明るい世の中にしたいという想い。今 65歳になってまたまわりに変化が出てきた。人生っておもしろいよね。

最後におふたりからこの対談を読んでくれた方々にひと言、お願いします。

忽那さん: 皆さんにはぜひ、好きなことをしてほしいです。好きなことを真剣にやっていれば、必ず形になります。また、没頭できる強さを持つことができると思っています。

康代先生: 自分を好きって言える毎日を過ごしてほしいですね。なんでもいいんです。今日楽しくて笑顔になれたなら、「笑っている私、好き」、メイクがうまくいったら「喜んでいる私が好き」。それを言葉に出して言ってください。それが自分に愛をもって接することだと思います。

忽那汐里さん×三上康代先生

忽那汐里(くつなしおり)さん

オーストラリア出身。ホウ・シャオシェン監督、
ウェイン・ワン監督など海外の監督作品に出演後、活動の場を海外に移す。20世紀フォックス「デッドプール2」、Netflix「アウトサイダー」「マーダー・ミステリー」、Apple TV「INVASION」S1~S3等のハリウッド作品に出演。2023年には数年ぶりに日本作品Netflix Japanオリジナルドラマ「サンクチュアリ-聖域-」に出演。2024年夏には出演作「デッドプール&ウルヴァリン」が全世界で公開となる。最新作はニコラス・ウィンディング・レフン監督「Her Private Hell」(2026年完成)。

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