コラム「やすよ日和」
子どもの成長は「口」でわかる。
歯磨きでわが子の未来を育む【口育】。
「なんで口の中に棒を入れられるの?怖いよ!」
まだ歯磨きの意味がわからず嫌がる子どもと、「虫歯になるから歯磨きしないとだめ!」というお母さん。
この小さなバトル、どこの家庭にもありますよね。
でも実は、歯磨きは親子にとって最高のスキンシップなのです。子どもはみんな、お母さんの笑顔が大好き。
お母さんの膝に乗って、お母さんの指でお口の中をやさしく触ってもらう——
それは子どもにとって、とても安心できて幸せな時間です。
お口の中のマッサージで唾液が出て、副交感神経が優位になる。
子どもは身体の奥から「安心・安全」を感じます。
だから、お子さんが産まれたときから、すぐに口腔内マッサージを始めましょう。
まずは ほっぺをゆるませるところから。
お母さんの手で優しく触れられるだけで、赤ちゃんは安心して表情もふわっとゆるみます。
歯が生えてきたら、水に濡らしたガーゼでやさしく歯を拭いてあげることからスタート。
少し大きくなって自分でできるようになったら、
指にガーゼを巻いて歯をツルツルにすることが“歯磨き”なんだよと教えてあげてください。
「お口を開けること」
「歯をきれいにすること」
この意味がわかってきたら、いよいよ 仕上げ磨き の出番です。
そして、お母さんが磨いてくれる時間が「気持ちいい」「安心する」と感じられたら、そのとき初めて 歯ブラシを持たせてあげる といいのです。
「口育」とは、やるべきことを、
やりたいことに変えること。
歯磨きは本来“やるべきこと”。
でも、お母さんの手で触れられ、気持ちよさと安心を知った子どもは、自分から「やりたい!」に変わります。
それって、とても素敵なことだと思いませんか?
また、「口育」とは、自分を大切にできる子を育てること。
つまり、「口育」とは、自分の“取り扱い説明書”を知ること。
お母さんがお口の中を見て気づいてあげることで、子どもの発育を整えることができます。
1)鼻呼吸の子どもを育てよう
鼻呼吸の土台となるのは鼻腔の底辺である上顎。まずは 自分の舌で刺激して育てることが大切です。
- 舌裏マッサージで舌を柔らかくする
- 縦抱きで育て、気道を広げる
- 舌が上顎に自然と上がる環境を作る
これが鼻呼吸の基本です。
2)唾液をしっかり出せる子に育てよう
よく噛むとは、ただ口を動かすことではなく食べ物をすりつぶし、唾液を絡ませること。
唾液に含まれる「アミラーゼ」はデンプンを分解し、胃腸の負担を減らす大事な酵素です。
離乳食ではまず「すりつぶす」経験を通して、“噛む・唾液を出す・消化する”という循環を学びます。
3)「食べる=自分を思いやる行為」であることを伝えよう
食べるとは、身体に必要な栄養を届けること。
そして食べ物は 唾液が絡むことで初めて栄養として認識されます。だからこそ、
- 食べる姿勢
足がしっかり床につき、背すじがのびて、口とお腹がまっすぐになる姿勢が理想です。
この姿勢だと 噛む力・飲み込む力・唾液の流れ が自然に働き、食べやすくなります。 - 正しい嚥下(のみこみ)
食べ物をよく噛んで、舌でまとめて、喉の奥へスムーズに送ることが「正しい嚥下」です。
正しい飲み込み方ができると、むせにくく、消化もしやすくなります。 - 食べ方のリズム
「一口食べる → よく噛む → 飲み込む」という流れをゆっくり丁寧に繰り返すことが大切。
早食いや丸のみを防ぎ、唾液がしっかり出て、消化がスムーズになります。これらを育てることがとても大切です。
口の中には成長のヒントがいっぱい
胃や腸の中は見えません。でも、その入口である「口」は、お母さんの目で見て、触って、気づける場所です。
さらに、便を見ることで食べたものが消化できているか離乳食が適切かもわかります。
便がゆるければ、まだ消化が追いついていないサインです。
口の中には成長のヒントがいっぱい
もちろん虫歯も心配です。でも、毎日の歯磨きは観察のチャンス。
- 舌の動き
舌が上手に動くと、飲み込みやおしゃべり、食べることがスムーズになります。
特に 舌が上あごにぴたっとつく のは鼻呼吸の大事なポイントです。 - 唇の使い方
唇をしっかり閉じられることは、よだれの量や口呼吸のクセ、発音にも影響します。
自然に口が閉じられる力 は、顔つきや姿勢にもつながります。 - 噛み方
食べ物を奥歯でバランスよく噛んで “すりつぶす” ことが大切。
しっかり噛むことで唾液がたくさん出て、胃腸の消化を助け、あごの成長も促します。 - 呼吸の仕方
基本は 鼻呼吸。
鼻で呼吸すると、空気が温まり・湿り・きれいになって身体に入っていくので、とても健康的です。
反対に、口呼吸は虫歯・喉の乾燥・姿勢の崩れの原因にもなります。
お口は子どもの発育を映す“鏡”です。歯磨きを通して、成長を見守り、愛を伝えてあげてください。
お母さんから受けた愛情いっぱいの歯磨きは、子どもが親になったとき、また次の世代へ受け継がれます。
これが「愛の文化」。
私は、「口育」を通してこの文化を広げていきたいと願っています。